コレクションの風物詩、それは、「おしゃれスナップ」、略して「おしゃスナ」です。
ショーを見に来る「おしゃれな」お客さんをスナップして紹介する、というやつなのですが、当初取り上げるのは日本の雑誌くらいだったのに、近ごろでは世界中のブログやウェブサイトが競って掲載するようになり、ショー会場の出入り口にはブロガーやパパラッチが黒山の人だかりとなっています。ユナイテッドアローズの栗野宏文さんは『フィガロジャポン』2014年12月号の連載で、そのせいで、ただ目立てばいい、というタイプが急増している(そしてブランド側も目立つ服を作るようになってきている?!)、と苦言を呈され、本来「お洒落なひと」とは、「そのひとなりに洋服が似合うこと」、とおっしゃっていました。
私も端から見て服が似合っている、というのは重要ポイントだと思います。が、イコール「おしゃれ」の称号を即あげちゃっていいものなのか…?「色使いの上手なひと。年齢を超越したひと。柄と柄を自然にあわせてしまえるひと。サングラスやスカーフだけでキメられるひと。」…を「お洒落」だと思う、ともあったので、一概には言えない?見るひとの感覚にもよる??
パリコレ突撃にあたり、極力きょろきょろとまわりを見回しながら、隙あらばスナップしてきたので、それを見ながら今回は「おしゃれなひと」について考えてみたいと思います…!
パリで、私が「おしゃれだな!」と思ったのは、この方々でした。
てんでばらばらに見えますが、はたして3人の共通点は何なのか…?!
まずは、「1. もし白T+ジーンズだったとしてもかっこよかろう」ということでしょう…
服の力を借りずとも、強い、ということですね…無造作ヘアでもキャロラインさんくらい迫力を出せる方はそうそういらっしゃらないので、マレのおねえさんとジュリアさんのように、髪型の力を借りるというのもアリです。
そして、「2. 気負いが感じられない。がんばってる感がない」。
「気負ったり」「がんばったり」するのは、身の丈に合わないことをしようとするからであります。無理をしていない、つまりは「似合っている」ということなのですが、着ているひとは安心して洋服に身をまかせ、洋服は着ているひとに違和感なく沿う。そしてそれを周囲が自然なものとして見る、ということです。
最後に、「3. 上質なものを着ている」。
べつにものすごく高価だったり、有名ブランドだったりしなくてもいいんですが、ペラペラの素材や、コピー商品など、安っぽくて雑な作りのものは着ていない、ということです。
見るひとのテイストで意見がわかれるところもあるかもしれませんが、この三つの条件、冒頭の「色使いの上手なひと。年齢を超越したひと。柄と柄を自然にあわせてしまえるひと。サングラスやスカーフだけでキメられるひと。」なんかにも言えちゃうんじゃないでしょうか?!色使いはひとによって感じ方が異なろうかと思いますので、万人が「上手だ」とポジティブにとらえられるかはわかりませんが、年齢関係ないね!、というのはそのひと自身の魅力、年齢を枷としない気負いのなさ、柄合わせが「自然」だね!というのは柄同士のパンチにも負けない強さ、それを気楽に楽しむ心意気、ちょっとした小物だけでもキマルね!というのは、やはりそのひとの存在感があってのものなのではないでしょうか…
3はお金さえ出せばすぐにクリアできそうではありますが、他のふたつは一朝一夕ではかないません…おしゃれへの努力ももちろんあるでしょうが、人間性、知性、人生経験がにじみ出る、ということもあると思うのです。「おしゃれ」は洋服のことだけにあらず…!
「おしゃれは我慢だ!」と叫んでいた自分、まだまだです…!我慢しないでよくなったら、ほんまもんのおしゃれ、ということなんですよ、きっと…!
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