資料を読みながら、うとうとしていると、インターホンがなった。
同居人が出てくれるのをいいことに、そのまま横たわって本を読んでいると、
「1円でもいいよ~」
と、外から元気なかわいい声が聞こえてきた。
あまりの愛らしい声と発言に、
声の主の容姿はわからないが、おそらく小さな坊やだろうと想像した。
夕食時、同居人に坊やのことをうかがうと、
お母さんと秋祭りの町会費を取りに来てくれたそうだ。
わたしは夕方の生活音が大好きだ。
部活帰りの高校生の笑い声、慌ただしく買いものをする人、
よそのお宅から流れてくる夕食のにおい、
「ばいばい」「さよなら」「また明日」……家路を急ぐ人の挨拶。
それぞれが目的に向かって、明日へ向けて歩いて行く。
夏の夕暮れには、慌ただしくもおだやかな時間がゆったりと流れている。